実際な。何を語って良いのやら、といった感じだよ。
とある人物の消息を追って、一路西へ向かったわけですが、その人の安否はおろか、
存在の痕跡すら見つけられずに帰ってきました。事態はより困惑を極めたと言えます。
今回のミッションの要点はここです。
「正確な住所を紛失してた」。
馬鹿ですね。救いようがありません。いや、もう救ってもらおうとも思ってませんけど。
以前に住所と本名を教えてもらって、郵便物を送ったことがあるんですが、バックアップの手違いで、
そのときのメールをなくしてしまっていました。1年半ほど前のことです。まぁ、そのときは
訪ねて行く気もさらさらなくて、用もないのに再度住所を確認したがるのも変だし、失礼だと思ったので
放っておいたんですが。まさかこんな展開になろうとはね。アホですね。
というわけで、出かける前に知っていた情報は、以下のように限定されたものでした。
・本名(と、推測されるもの)
・住所(〜市までと、その次に続く住所に●という漢字が含まれていたという不確かな記憶)
まぁ、全て嘘の申告じゃなかったとした場合ですが。
他には「犬を飼ってるから多分一軒家だろう(それも結構金持ちくさい)」とか
「学校から歩いていける距離に住んでる(はずだ)」とか「特徴のある看板」とか微妙な情報群。
実際出かける前は、見つからないなんてことは微塵も思ってなくて、本当に死んでるとしたら、
どうしてそんなことになったのかとか、ご両親に会った場合のお悔やみの言葉とか、
そもそも何と言って訪ねたらいいのか?とか、そういうことばかり心配してました。
ちゃんと生きてた場合、そのバツの悪さをどう紛らすか、とかね。
………。まぁ、当地での詳細の行動はこの際省く。一応途中まで書いてみたけど、ドラマ仕立てで時間軸に沿って
書いても仕方ないなと思って消した。ここから個人情報を類推されても迷惑だろうし。
結局何にも分かってないんだから格好もつかないし。
とにかく歩いたよ。アスファルトの舗装は人間の足腰に優しくないことを実感したよ。
確かな情報としては、現地の図書館に行って最近3ヶ月間の地方欄も調べた。事件的なものにも記事は
発見できなかったし、お悔やみ欄にも名前はなかった。それで死亡説はほんのちょっと薄らいだが、
死亡しても必ずお悔やみ欄に載るわけじゃないし、(考えたくないことだが)仮に死因が
あまり公にしたくないようなものだったら、なおのことだろう。よって、訃報が全く否定されたわけでもない。
最初は市役所に行ってここ最近の死亡届一覧みたいなのを照会させてもらえば一発だな、と
思ってたんだけど、窓口に行ったら、そんなの無理、と軽く一蹴された。そりゃそうか。
事態の真相をちょっと整理してみよう。
1.全部本当
僕が知っているかの人の情報が全て真であることは何ら否定された訳ではない。何故なら、
住所を失念してしまったせいで、全く別の地域を調査していた可能性もあるからだ。全く信用ならないが、
僕の直感では、かの人が全く架空の作り物のキャラクターであるとはどうしても思えない、ということが
この説を強く後押ししている。また、そうであって欲しいと自身願っている。
ただ、この場合も現在のかの人の安否については、両方の可能性が残されている。
2.部分的に本当
かの人は確かに実在している(いた)のだが、教えられた住所および氏名が偽られていたケース。
こちらからの郵便物がちゃんと届いていることから、一見これは成り立たないように思われるが、
知人に協力を頼むことで偽装は可能。とすると、2件目に訪ねたところが俄然怪しくなるが、
可能性の一つに過ぎない以上、ここから掘り下げるのは難しい。
あと、今回探して回っているうちに、住所・氏名の偽称について、ちょっとした抜け道的手法も思いついた。
まあ、いずれにしてもこの説が正しいとした場合、つまり全く信用されてなかったってことでちょっぴり寂しいわな。
この説が生きている以上、氏名すら危ういのだから、調査の方法はかなり制限を受けることになる。
3.全部嘘
1件目に一番それっぽい住所を訪ねたところ、オタクでヒッキーっぽい若いあんちゃんに遭遇したんだわ。
これか、これだったのか、と一瞬思考の90%を支配したが、拭いようのない違和感のため、確信には至らなかった。
ただ、いくら1年以上前のこととはいえ、完全に違うふうに住所を覚えていたとも思えないのがネック。
自分の記憶の確かさも不確かさも、何一つ信用ならない。
それにこの説には、優しい側面も含まれていて、これを信じる以上、今回行動を起こす動機となった
「かの人の他界」という一番悲しい現実を全く信じなくて済むということ。複雑な心境の所以もここにある。
正直に話すと、別に「3」でもいいんだよ。虚勢でもいい格好しいでもなく自分本位の論理で。
「3」または「2」が真なら今回の死亡説は、本人が故意に流した可能性も高いわけだが、
だとすると、今後も向こうからのリターンが期待できないのも分かる(そう考える理由の皆までは言わんが)。
分かるけど、だとしても、そこを何とかご連絡いただきたい。とにかく今となっては、ただ真実だけが知りたい。
生きてるのか死んでるのか、実在したのかしないのか。それさえも分からないのは酷すぎる。
そりゃないだろって感じだ。ぶっちゃけ、好きとか嫌いとかの次元じゃなくてさ。
あなたからは精神的に多大な影響を受けていると感じているから。一人の人格として大切に思ってる。
今の宙ぶらりんの状態に比べたら、全部嘘でした、って言われた方が全然ましだ。いや、嘘なら嘘で
すげー奴だと喝采を送りたい気分でいるよ。その心構えは知り合った当初から変わりなく持ってる。
つまり、会話の中に何らかの嘘が含まれていたとして、それを全部ゲロったとしても怒る気は全くないからってこと
(自嘲して愚痴ぐらいは垂れるだろうけど)。それと(自分的には言うまでもないことと思っているが)、
もし事実が「1」または「2」で、本人がちゃんと存命していた場合でも、付き纏ったりするつもりもないから。
この気持ちは真摯なものだ。とにかく知りたい。
万が一、かの人の関係者で事情を知る人が、これを読んでおられましたら、どんな情報でも
良いので是非ともお報せくださいますようお願いいたします。真剣です。
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