微妙。
コンピュータの高性能化によって、未来では霊界の存在すら証明されてしまったというのは、
まあ凡庸とまでは言わないけど普通の発想で、でも情報を拾い切れないせいで、霊界は常に
荒い画質のアメ・コミ調の世界だったっていうのは、なかなかできない発想だと思うよ。さすが山田さん。
CPUの演算速度がどうしても超えられない限界に達したとき、巫女や呪術士にお祓いをさせると
なぜか負荷が下がりより早い回路の設計が可能になる現象が確認された、とかね。おもろいと思う。
そこらへんの設定は煌いてるし、アメコミ世界の主人公が優秀なプログラマー(霊界コンタクター)たちと
対決していく、多分に形式ばった物語構成も独特でいいと思うのだが。
なんでかねぇ、最後の詰めの設定が甘々なんやね。終着点の設定からの発想じゃないからなんだろうけど。
人間という種、人間という言語を超える次の種(言語)の誕生を迎えるために大きな役割を担ってる
生命言語(ランガー)について、その発祥から性質まで噂の域でしか伝えられてこないことが、
最後の最後で物語の結末を不透明なものにしてる原因……なのですなぁ。
まぁ、それもこの小説の味といえば味なのか……。
でも、アダムとイブをなぞる必要もなかろうて、と、思ってしまうのもむべなるかな、でござりんす。
|