何が駄目なのか…。まあ、まず一見して分かるように文章力が商業作品レベルとは程遠いです。
それと、やたら山田正紀。極似。似過ぎ。山田正紀作品しか読んでないから、当然といえば当然ですが。
まあ、文章の拙さは書いた経験が少ないことに因ると思うので、回数を重ねることで克服できる問題ではあると思うんですが、
この作品自体の問題として、挙げられる最大の問題は、構成にあるのではないかと思います。
簡単にいってしまうと、起承転結の「承」の部分で話が膨らみ過ぎているにも関わらず、
「転結」の部分が、それまでの話の筋と違えているので、ふ〜ん、という印象しか与えられないのではないかと。
今回、これをアップするにあたり、謎組織にとッ捕まる部分を大幅に修正したんですが、
やっぱりこの部分がどうにも納得がいかないですね。最終的に、主人公が《捨てる》という考えを
しないようにタイムカプセル的な意味合いで死体遺棄をしようとする、という場面を書きたかったわけですが、
そうするには、主人公が「人の心を読めるロボット」の存在を知っていなければならないわけです。
そういう知識を主人公に与える存在として、政府に反抗する地下組織のような存在が
必要だったわけですが、そういうものを登場させてしまうことで、本来オチにしたかった
「恋人を殺してしまった主人公」という問題よりも、枝葉であるべき「政府と謎組織」の対立という
方向に読者の興味が移ってしまうという問題を抱えることとなったわけです。
読者的には、ここまで順調に明かされ軸とされてきた「政府の怪しさ」というものを捨て置いて、
突然「主人公が実は殺人者」ってことをドドーンと言われてもよー、という白けた感想を持ってしまうわけです。
一つの殺人よりも、政府転覆を狙う組織の活動の方が、よっぽど大きな話っぽいですからね。
これは、修正する前のバージョンでも問題視していたところでもあり、今回は、
組織のリーダーが主人公のトラックの積み荷の中身を疑うような、場面も付け加えてみたのですが。
根本的な問題の解決には至っていないような気はします。
あと、前回バージョンでは、リーダーの男が、すごくヤスっぽく頼りなく見えるという感想も
いただいていましたが、今回もそれは変わりない感じです。主人公が知らなかった知識について
語る役目を持ってるわけですから、どうしても男は冗長にならざると得ません。
男の口から事実が語られるのではなく、主人公が組織に入って手助けをしているうちに、
そういう事実に気づいてしまう…という見せ方にした方が、よりリアリティは出るかなあ、とも
思ったのですが、そこはそれ、やっぱり組織の活動にばかり注目を集めてしまうことになりますし、
なにより主人公は、トラックに死体の入ったゴミ袋を隠し持っているわけなので、
そうそう長居はさせてられないというジレンマもあるわけですよ。
そもそも、この主人公。殺人を犯してそれの証拠隠滅をはかろうとしているにしては、
かなり注意が足りないですよね。そこらへんも説得力がない。けど、あんまりビクついてる様子を書くと、
最後の実は死体を捨てようとしてた、というオチが簡単に読めてしまうと思うので、…ままならんものですあ。
他にも矛盾は沢山あるんですが、その矛盾を目立たせないように、いろいろ説明や言葉を
付け加えているうちに、何だか全体的に不自然な作品になってしまいました。
それと、最初のバージョンでいただいた感想では、最後に主人公が唇を当てた「物」が、
一体何なのか分からない、という意見が多数ありました。それは、まだ作品のタイトルを
付けていなかったから、分かりづらかったのかなあ、とも思いますが、今これを読んでいる貴方には、
ちゃんと最後のオチは伝わったでしょうか?
主人公が殺してしまった恋人の頭部です。おげー。ダークっすね。多分、殺してから
1ヶ月ぐらい心神喪失状態で部屋にこもりきっていたわけですから、相当腐敗が進んでいることでしょう。
作品タイトル「こずえ」は、タイトルを女性名にしたかったのですが、一目見て女性名だと分かってしまうと、
やっぱり最後のオチが見え見えになってしまいますから、できるだけ女性名には見えないものということで、
いろいろ考えてこれにしました。他に案としてあったのは、「めぐみ」とか「のぞみ」とか、
何か別の意味がありそうな名前を一生懸命考えたのですが、もっといいタイトルないかなあ。
と、いうわけで、ここが駄目じゃーん、と突っ込まれる前に、自分で「あー、ここ駄目だよ。分かってるよ」と、
自己批判をしてみました。男らしくねーや。クリエーターとは呼べんねぇ。
まあ、悪いところに気づいている、というのは、修正できるチャンスもあるということなので、
気づいてないよりはよっぽどいいよね。と、これもやっぱり自己弁護か。このくらいにしとこう。
よろしければ、「読んだよ」ってだけでもいいので、何か感想ください。率直な批評・批判もお待ちしてます。
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